税務情報

2024.05.01

2024年度(令和6年度)の主な税制改正を紹介

2024年度(令和6年度)の税制改正では、所得税や個人住民税の定額減税や賃上げ税制の見直しが行われ、2024年3月28日に成立しました。

当記事では2024年度(令和6年度)税制改正での変更点を紹介します。個人に関するものだけでなく、企業の税制に関する変更も多々あるので、それぞれの税制について、何がどのように変わるのか把握しておきましょう。

 

1.2024年度(令和6年度)税制改正では何が変わる?

2023年12月22日に、2024年度(令和6年度)の税制改正の大綱が閣議決定され、2024年3月28日に成立しました。今回の税制改正は、賃金の上昇よりも物価高が進んでいる現状を鑑みて、国民の負担軽減と持続的な賃上げができる経済の実現を目的としています。

具体的には個人にかかる所得税・住民税に対して定額減税が行われるのに加え、住宅ローン控除も改正されます。また賃金上昇を目的とした、賃上げ税制について見直しされています。

他にも、グローバル化や地域経済の活性化を目指した税制の見直しも注目ポイントの1つです。

 

2.個人所得課税

2024年度(令和6年度)税制改正では、国民の税負担を緩和するための一時的措置として、所得税・個人住民税の定額減税が行われます。合計所得額が1,805万円以下の場合、所得税が3万円、個人住民税が1万円減額されます。

また、ストックオプションの優遇措置の拡大や住宅ローン控除の拡充なども決定しています。

 

3.資産課税

固定資産税評価額は3年に1度評価変えが行われ、2024年は評価替えの年にあたります。それに合わせ、現在適用されている負担調整措置や条例減額制度、下落修正措置などが3年間延長されることが決まっています。さらに、コロナ禍や物価高騰を受け、事業継承の準備が遅れている企業が多くあることから、特例承継計画及び個人事業承継計画の提出期限も2年間延長されます。

 

4.法人課税

大企業・中小企業ともに賃上げを促進するために、賃上げ促進税制の適用期限延長や税額控除率の上乗せが決められています。特に、女性の活躍を促す「プラチナえるぼし」や子育てサポート企業として認定されている「プラチナくるみん」を取得している企業は、税額控除率が上乗せされます。

 

5.消費課税

消費課税に関しては、国外の事業者が制度や特例を活用し租税回避を行うのを防ぐために、事業者免税点制度の特例や簡易課税制度の見直しが行われます。また、海外旅行者への免税制度も同様に見直されることが決まっています。

 

6.国際課税

 

7.納税環境整備

税務手続きを簡素化するため、電子申告・納税システムであるe-Taxの利便性向上が税制改正により進められています。また、正しい納税を促すために、隠ぺいや仮装によって更正請求をした場合は、重加算税が課されることになりました。

 

8.関税

国内・国外の経済状況は日々大きく変動しており、現在は物流・人流ともに増加傾向にあります。今後は大きな国際イベントである2025年の大阪・関西万博が控えており、関税に関しても見直しを図る必要があるとして、暫定税率の適用期限の延長や関税率の見直しが図られています。

 

9.扶養控除等の見直し

児童手当の所得制限撤廃と高校生への支給拡大に合わせて、扶養控除の見直しが進められています。2024年度(令和6年度)での改正はなかったものの、2025年度での改正を目指して議論が進められています。

 

まとめ

2024年度(令和6年度)の税制改正では、個人所得課税だけでなく、法人課税や資産課税についても変更があります。また、来年度以降の改正に向けて議論が進んでいる項目もあるため、引き続き改正の動きについて注意深く見ていく必要があるでしょう。

税制改正について疑問がある場合は、税のスペシャリストである税理士への相談がおすすめです。疑問点を解消できるだけでなく、税制改正への対応をスムーズに行える点も税理士に相談するメリットです。

監修者情報

杉田 透(すぎた とおる)

税理士法人スマッシュ経営

杉田 透(すぎた とおる)

資格:税理士

経歴

1959年
愛知県豊田市生まれ
1980年
名古屋国税局採用
2010年
法人税担当統括官
2020年
名古屋国税局退職
税理士登録
税理士法人スマッシュ経営 知立本社入社
所属税理士となる

この記事は専門家による監修を受けて作成されていますが、内容の誤りや不正確性によって、読者が何らかの損害を被る場合でも、当法人はその責任を一切負わないものとします。

同じカテゴリの記事