税務情報

2023.08.28

顧問税理士とは?依頼できる業務内容やメリット・選び方を詳しく解説

企業の売上が伸びてきたときや、税の処理について悩んだとき、専門家に相談したいと思うこともあるでしょう。税のアドバイスを受けるなら、顧問税理士に依頼するのがおすすめです。

当記事では、顧問税理士とは何か、依頼できる内容も含めて詳しく解説します。企業や個人として顧問税理士と契約を結ぶと、さまざまなサポートやアドバイスを受けられます。煩雑な税の手続きをスムーズに行いたい方は、ぜひ顧問税理士への依頼を検討しましょう。

 

1.顧問税理士とは?

顧問税理士とは、企業や個人事業主と顧問契約を結んでいる「税理士」のことです。企業や個人が税務・会計などのアドバイスや支援を求める際に、専門的なサポートを提供する役割を担います。

顧問契約とは、税理士に税務指導や経営に関するサポート業務を、期間を決めて依頼する形態のことです。契約した税理士には、毎月または年間で、報酬として顧問料を支払います。

顧問税理士は、税務申告や各種書類の作成などの手続きについての専門的な助言をしてくれる他、節税対策の依頼や、長期的な経営戦略の立案や資金計画に携わる場合もあります。

具体的にどの業務を対象範囲とするかは契約内容によって異なりますが、経営のパートナー的存在となってくれるでしょう。

 

2.顧問税理士に依頼できる業務内容

顧問税理士に依頼できる業務内容は契約によって異なりますが、税理士の独占業務である税務代理、税務書類の作成及び税務相談は税理士以外とは契約できません。ここでは、税理士の独占業務について詳しく解説します。

 

2-1.税務代理

税理代務とは、納税者が行う必要がある申告等を代わりに行います。具体的には、申告、申請、届出、報告、不服申立てを代理し代行することです。

また、納税者に代わって、税務調査や処分に関し、説明、主張を行うことも可能です。

税金の処理は複雑ですが、専門的な知識を持つ税理士に依頼することで間違いを防げます。税理士の知識と深い知見により、税金に関するトラブルを回避でき、安心して経理業務を任せられます。

出典:日本税理士会連合会「税理士とは」

 

2-2.税務書類の作成

税務書類の作成とは、税務署や県税事務所、市町村などの税務官公署に提出する申告書や申請書、不服申立てなどの書類を作成することです。この場合、申告書等は、法令の規定に基づき作成し、かつ、税務官公署に提出書類に限られます。

税務書類の作成は専門性が高く、知識が必要です。また、毎年税制改正があるので、専門家である税理士に依頼すれば、正確性の高い書類の作成ができます。税理士に依頼することで、企業の担当者は時間を節約し、本業に集中できるでしょう。

出典:日本税理士会連合会「税理士とは」

 

2-3.税務相談

税務相談とは、税金の申告や税務書類の作成に関する相談に応じることを指します。

税金に関する悩みや困りごとの相談や、税金の課税についての個別具体的な計算に関する相談が可能です。税務相談では、税理士は基本的な税金の計算方法から税務手続き、節税対策などのアドバイスを行います。

税務相談でよくある相談内容として、会社として大きな買い物を検討している際や、会社の売上が伸びたときの節税アドバイスが挙げられます。また、個人の所得税の計算についても相談できます。

 

3.顧問税理士に依頼するメリット

税金に関する業務を税理士に依頼すれば、ミス防止や税金の計算などの作業時間を短縮など、複数のメリットがあります。ここでは、税理士と顧問契約を結び、業務を依頼するメリットを詳しく紹介します。

 

3-1.お金に関するアドバイスを受けられる

税理士と顧問契約を結ぶことで、お金に関するアドバイスを直接受けられます。事業を安定させながら大きくしていくためには、毎年確実に手元に資金を残し、増やすことが重要です。顧問税理士に依頼すれば、会社のお金についての適切なアドバイスを仰げ、節税も実現できます。

申告漏れによる追徴リスクも軽減できるほか、利用できる特例や制度、節税方法も紹介してもらえます。資金繰りや事業の将来設計についても相談できる上、自社が利用できる助成金や補助金についてのアドバイスなど、多くのサポートを受けることが可能です。

また、融資を受けられる銀行や金融機関の紹介など、税務処理には直接関係のない事柄についてサポートしてもらえる場合もあります。

 

3-2.経営に対する意見を得られる

顧問契約を結べば、経営に対する意見を得ることもできます。税理士は、専門的な知識と経験を持っており、会社の財務面や経営に対して客観的な視点からのアドバイスが可能です。

経営者が会社の将来に向けた意思決定を行うために、税理士は財務状況や税務に関する情報を適切に解釈し、経営戦略に合った意見を提示してくれます。また、顧問税理士は企業を運営していく中で経営者が直面する課題やチャンスについても理解しているため、会社の強みを生かした成長戦略を立てる手助けをしてくれます。

さらに、業界動向や市場の変化にも精通している税理士の場合、適切なタイミングで的確なアドバイスを提供してくれるでしょう。

 

3-3.税務調査への対応を任せられる

税務調査は、きちんと税務申告をしているかどうかを調査されます。税務調査は適切に対応する必要があり、企業にとって大きな負担です。しかし、顧問税理士を依頼している場合、税務調査の対応を税理士に任せられます。税務調査では、税務署とのやり取りや必要書類の提出、説明や主張などが求められますが、顧問税理士が代理で対応すれば、専門的な知識を活かしスムーズな対応が可能です。

税務調査は企業にとって負担が大きいだけでなく、誤った対応をすると追加課税が課せられる可能性もあります。顧問税理士に対応を任せれば、税務調査によるリスクを軽減でき、迅速かつ適切な対応を行えます。

 

4.信頼できる顧問税理士の選び方は?

顧問税理士を依頼する場合は、相手が信頼できるかどうかをチェックすることが大切です。
依頼時に確認したいポイントとして、下記の4点が挙げられます。

・人間性

信頼できる顧問税理士を選ぶには、その人の人間性を見極めることが大切です。顧問税理士は経営のパートナーとしてともに歩んでいくことになります。コミュニケーション能力や対応の姿勢、親しみやすさなど、信頼関係を築くために必要な要素が揃っているかを確認しましょう。

・専門性

税務に関する専門知識や経験が豊富な税理士を選ぶことが重要です。適切な税務アドバイスや節税対策の提供が可能かを確認し、専門的な知識や得意分野、どのような実績があるかを確かめましょう。

・レスポンスの早さ

連絡時のレスポンスの早さや対応の迅速さも大切な要素です。レスポンスが早ければ、重要な時期や緊急の課題にも素早く対応してもらえます。

・依頼できる内容

顧問税理士に依頼できる内容を確認しておくことも大切です。納税申告だけでなく、会計や財務面でのアドバイスや税務相談、節税対策など幅広い業務依頼が可能かを確認しましょう。自社のニーズに合ったサービスを提供してくれるかが重要なポイントです。

上記のポイントをしっかり確認すれば、信頼できる顧問税理士を見つけられます。経営において重要なパートナーとなる顧問税理士を選ぶ際は、慎重に検討を重ねることが大切です。

 

まとめ

個人や企業と顧問契約を結んだ税理士のことを「顧問税理士」と呼びます。顧問税理士へは税の申告や税理書類の作成、税に関する相談を依頼でき、中には経営についての幅広いアドバイスを受けられる場合もあります。また、税務署の税務調査への対応もお願いできるため、煩雑な手続きや対応の負担が軽減されます。

何を依頼できるかは、契約内容や依頼する税理士の専門性によっても異なります。顧問税理士を選ぶ際は専門性の他に、安心して任せられる人間性を持っているかやレスポンスの早さにも注目しましょう。

監修者情報

杉田 透(すぎた とおる)

税理士法人スマッシュ経営

杉田 透(すぎた とおる)

資格:税理士

経歴

1959年
愛知県豊田市生まれ
1980年
名古屋国税局採用
2010年
法人税担当統括官
2020年
名古屋国税局退職
税理士登録
税理士法人スマッシュ経営 知立本社入社
所属税理士となる

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