税務情報
2022.06.16
小規模企業共済とiDeCo
節税対策の一環としてよく使用される小規模企業共済とiDeCo、今回は似ているようで全く違う2つの制度について解説したいと思います。
<小規模共済とは>
小規模企業の経営者や役員の方が、廃業や退職時の生活資金などのために積み立てる「小規模企業共済制度」。掛金が全額所得控除できるなどの税制メリットに加え、事業資金の借入れもできる、おトクで安心な小規模企業の経営者のための「退職金制度」です。
(引用:中小機構HPより)
<小規模企業共済加入条件>
・建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社等の役員
・商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社等の役員
<小規模企業共済のポイント>
・掛金総額の範囲内で、無担保・無保証で借入が可能
・掛金月額は1,000円~70,000円まで自由に設定・変更可能であり、掛金全額が所得控除になる
・共済金は廃業時に一時金または年金として受取可能。一時金の場合には退職所得として、年金の場合には公的年金等の雑所得として扱われる
・中途解約可能だが、20年間未満で解約すると元本割れする
・老齢給付である共済金Bの受取開始は65歳より
<iDeCoとは>
「iDeCo」は、任意で申し込むことにより公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金のひとつです。国民年金や厚生年金と組み合わせることで、より豊かな老後生活を送るための一助となります。加入者自らが掛金を拠出し、自らが運用方法を選び、掛金とその運用益との合計額をもとに給付を受けることができます。
(引用:国民年金基金連合会の特設サイト「イデコガイド」より)
<iDeCoの加入要件>
原則として、20歳以上60歳未満のすべての個人
※ただし、勤め先の企業で企業型確定拠出年金に加入している給与所得者の場合は、企業が規約でiDeCoへの加入を認めていないと加入不可。
<iDeCoのポイント>
・掛金月額は5,000円~68,000円まで自由に設定でき、掛金額の変更は年1回だけ可能
掛金全額が所得控除になる
・金融商品への投資であるため、リスクに応じてリターンを狙うことができる
・受取時には、一時金か年金(あるいはその併用)で受け取ることができ、一時金の場合には退職所得として、年金の場合には公的年金等の雑所得として扱われる
・中途解約不可能であり、60歳以降でないと受取不可
<まとめ>
経営の安定という目的であれば小規模共済、老後のためのお金を貯めるという目的であればiDeCoをおすすめします。小規模共済は掛金の拠出額の範囲内でお金を借りることができるため事業の安定性につながり、「廃業」するとなった場合にも共済金を受け取ることができます。一方iDeCoは金融商品への投資であることから小規模共済に比べ利回りが良く、運用成果によっては掛金を上回る給付を受けられます。どちらにも一長一短があるため、手元の資金の状況、事業の安定性、将来の資金需要予測等を考慮しながら検討することが大切です。