税務情報
2022.04.19
支払額=控除額! 個人事業主の節税対策
「『今』節税出来て、『将来』のためにもなる」
…と聞くと、どんなものが思い浮かびますか?
生命保険が思い浮かぶ方も多いでしょう。
もちろんこちらは、怪我・病気・死亡…多種多様な「もしも」への備えとなります。自身が大事なプレイヤーでもある個人事業主にとっては、なくてはならないものです。
そしてもちろん控除がある、つまり節税効果があります。
ただし生命保険料控除には上限があり、必ずしも「支払った金額=控除の金額」となりません…
つまり、たとえば「引退したあとの生活資金」が、生命保険以外でも積み立てられるのなら…もっと節税できるんです!
今回はそういった、「生命保険に加えて」「『今』節税出来て、『将来』の資金にもなる」「ついでに支払額がそのまま控除額になる」ものを4つ、ご紹介します!
1.小規模企業共済
個人事業主や、事業専従者(個人事業主の家族従業員)にとっては、事業の廃業や引退後のために積み立てが出来る制度です。
つまり、「現役のうちに、自分のための退職金を積み立てる」ことが出来るしくみとも言えます。
○主なメリット○
・原則、その年支払った金額が、全額控除(小規模企業共済等掛金控除)となる
(ただし年間支払い可能額に上限あり)
・月額の増減も途中で可能(月1,000円以上70,000円以下・500円単位)
・途中で本人が死亡しても、遺族が受け取れる(死亡退職金のような形)
2.iDeCo
公的年金にプラスして給付を受けられる、私的年金制度のひとつです。
申込・拠出・運用の手続きを自分で行い、掛金と運用益を元に、年金として給付を受け取ることができます。
限度額があり、③でお話する国民年金の付加年金、または④でお話する国民年金基金との兼ね合いで変わりますので、ご注意ください。
また、iDeCoは原則として、運用した積立金は、老齢給付金として60歳になるまで引き出すことができません。
○主なメリット○
・原則、その年支払った金額が、全額控除(小規模企業共済等掛金控除)となる
・ある程度、自分の考えに合わせた運用の仕方が選べる
(とはいえ、運用方法等により元本割れするリスクもある)
・期間中、運用益が出ても非課税として扱われる
3.国民年金の付加年金
毎月の国民年金保険料に400円を上乗せして払い込むと、将来年金受給額も上乗せされる制度です。
なお、受取時に上乗せされる金額は、1年に『付加分の納付月数×200円』。年金を受け取っている間は継続します。
④の国民年金基金と一緒に行うことはできませんので、どちらかを選ぶことになります。
また、老齢基礎年金の上乗せのため、そちらの受給開始前に亡くなると支給はありません。
○主なメリット○
・付加して支払ったその年の分は、全額控除(社会保険料控除)となる
・毎月の追加負担が少ない
・2年間受け取れば「付加分の元が取れた」ことになり、早い段階からお得感を覚えやすい
4.国民年金基金
国民年金と同様の、もうひとつの公的な年金制度です。
個人事業主など、国民年金加入者にとっては、これに申し込むことで、公的年金を『2階立て』にすることができます。
③の付加年金と一緒に行うことはできないので、ご注意ください!
また、一度加入すると、途中での任意の脱退が出来ない制度となっていますので、よく検討が必要となります。
○主なメリット○
・支払ったその年の分は、全額控除(社会保険料控除)となる
・受取のタイミングや期間などについて、ある程度自分のニーズに合わせることが可能
・年齢が若いときに加入するほど、月の負担が少ない
おわりに
以上は、令和4年1月31日時点での税法等に基づいて作成した記事です。
税制は毎年改正がされるため、ご覧になっている時点では変わっている可能性もあります。
「実際、今はどうなっているのか?」については、ぜひ『税の専門家』へお尋ねください。