医業 / 税務情報
2021.12.30
医療機関が受領する新型コロナワクチン接種委託料は消費税の課税対象か?
2021年も残すところあと少し、年が明けると確定申告の時期になります。
ところで、医療機関は、新型コロナワクチンの接種を委託され、役所などから入金があったことでしょう。その入金は、収入になるのは予想できますが、消費税についてはどのような取り扱いなのでしょうか?
国税庁HPに、以下のような取り扱いが掲載されています。
『医療機関が受領するワクチンの接種事業に係る委託料の消費税の取扱い』
Q.新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種事業に関し、市町村と医療機関との間でワクチン接種事業の委託契約を締結し(注)、市町村から医療機関に対し委託料が支払われますが、この場合の委託料は消費税の課税対象となりますか?
A.消費税法上、国内において事業者が対価を得て行う「資産の譲渡」や「役務の提供」等に対して消費税を課するとされています(消費税法2条1項8号、4条1項)。ご質問の委託料については、医療機関が市町村に対して「ワクチンの接種事業」を行うという役務の提供の対価であり、消費税の課税対象となります。
(注)新型コロナウイルスワクチンの接種に当たり、住民票所在地以外において接種を受ける機会を確保する観点から、原則として、実施主体(市町村)と実施機関(医療機関)の間で締結されるワクチン接種事業の委託契約については、それぞれをグループ化し、グループ同士で包括的な契約(集合契約)を実施することとされています。
ご不明な点がありましたら、税理士法人スマッシュ経営まで、お気軽にご連絡ください。
〔参考〕
その課税期間の基準期間(※1)における課税売上高(※2)が1,000万円を超える(※3)事業者は、消費税の課税事業者となり、消費税の申告及び納付を行う必要があります(消費税法9条、45条)。
消費税の納付税額は、原則として課税売上げに係る消費税額から課税仕入れ等に係る消費税額を控除して計算します。ただし、その課税期間の基準期間における課税売上高が5,000万円以下の場合には、あらかじめ「簡易課税制度」を選択する旨の届出書を所轄税務署長に提出することにより(※4)、実際の課税仕入れ等に係る消費税額を計算せずに、課税売上げに係る消費税額に、一定の「みなし仕入率」(※5)を乗じた金額を課税仕入れ等に係る消費税額とみなして、納付税額を計算することができます(消費税法37条)。
※1 原則として、個人事業者は前々年、法人は前々事業年度をいいます。
※2 課税売上高とは、消費税が課税される取引の売上金額(消費税及び地方消費税を除いた税抜金額)と、輸出取引などの免税売上金額の合計額です。返品、値引きや割戻し等に係る金額がある場合には、これらの合計額(消費税及び地方消費税を除いた税抜金額)を控除した残額をいいます。なお、基準期間において免税事業者であった場合には、その基準期間中の課税売上高には消費税が含まれていませんので、基準期間における課税売上高を計算するときには税抜きの処理は行いません。
※3 その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間(個人事業者はその年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいい、法人の場合は原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6か月の期間をいいます。)における課税売上高が1,000万円を超える場合には、課税事業者となります(消費税法9条の2)。なお、特定期間における1,000 万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額によることもできます。
※4 適用しようとする課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。
※5 医療機関が市町村に対して委託料を対価として行う「ワクチンの接種事業」や、医療機関が患者に対して行う社会保険医療以外の自由診療は「第五種事業」(みなし仕入率50%)に該当します。