飲食業
2021.12.03
税務調査 飲食業編② 『調査のポイント~売上編~』
名古屋国税局法人課税課が発表した平成30年7月1日~令和元年6月30日の法人税調査で、名古屋国税局管内の不正発見割合の高い10業種が発表されています。
業 種 目 | 不正発覚割合 | 具 体 的 な 業 種 |
1、外国料理 | 59% | 中華料理、インド料理、その他の外国料理 |
2、その他の飲食 | 47% | 食堂、レストラン、その他の飲食を行う事業 |
3、土木工事 | 29% | 土木工事、しゅんせつ工事、造園工事、ゴルフ場工事など |
最近では、クレジットカード決済や電子マネー決済が増えていますが、まだまだ飲食店などでは、現金決済が多数派です。現金決済で疑われるのは、売上をレジを通さず抜いてしまう、いわゆる売上の計上モレです。
飲食店における税務調査 売上に関してのポイントを説明します。
事前調査
事前調査とは、税務調査官が、客として来店し、店舗の運営状況を確認するものです。
店舗の外から客の入りなどの確認し、その後、実際に店舗に客として来店し、座席数、回転数、客の入り具合、伝票記載の有無・レジの入力有無などを確認します。
また、自身が注文した料理や金額を記録し、後日の税務調査で店舗が保管する伝票と突合できる準備をすることもあります。
売上の脱漏がないか
現金商売が多い業種のため、現金売上が抜けてないか?というのが、税務調査官にとって、一番のポイントとなります。
特に、現金管理がしっかりできていないと「売上を少なく申告しているのでは?」と疑いの目を向けられたまま税務調査を受けることになりかねません。
無通知での税務調査
税務調査官が、突然店舗に来訪することもあります。なぜなら、売上の脱漏を確認するには無通知で調査するしかなく、また、事前に通知すればお店側に対策を取られてしまうからです。
無通知で来た際に レジの中にある現金が売上金額と一致しているかをチェックします。いわゆる「現金実査」といわれるものです。
現金実査を終えた後は、過去の売上のチェックを行います。こちらは保管されている伝票を見て、税務調査官が事前調査時に食事した金額と帳簿に記載されている金額が一致しているかを確認します。
もしも売上除外が発覚したら…
上記の流れを経て、売上を除外していることが発覚した場合には、税務署が売上金額自体を推定し、追加課税されることもあります。
例)お酒の仕入の量やビール瓶の空き箱の数などから逆算して理論的な売上を計算し、その計算により売上の計上モレを指摘されるケースもあります。
ただし、青色申告書を提出している法人では、この推計での更正処分はされません。それなら自分のところは関係ないと思っていても、税務署はそもそもの青色申告を取り消して推計による更正処分や推計に基づいた修正申告書の提出をするように迫ってきますので、逃れることはできません。
売上を抜除外していることが発覚すれば、重加算税(重い罰金)が待っていますし、脱税が認められた場合には調査期間は7年にまで遡ることとなります。特に、売上はきちんと計上し、適切な情報を基に経営をしていきましょう。